「ひとり学習」には、長年の実践や実践研究から生まれた、教育実践や子どもの成長に役立ついろいろなキーワードがあります。
言葉は大きな力を持っています。
「どうすればいいか、分からない」と悩んでいるとき、「もうだめかもしれない」と落ち込んでいるとき、「ある一つの言葉で、もう少しがんばってみよう」と思ったり、勇気をもらったりするものです。
<「ひとり学習」で生まれたキーワード>も、実践者の悩みを軽減し、子どもたちの成長を援助する力を持っています。
そのキーワードのいくつかを紹介します。
キーワードの意味については、少しずつ説明をしていきます。まず、キーワードだけを上げます。どんな意味があるのか、自分で考えてみてください。
「ひとり学習」が持っている人間観や教育目標を端的に表している言葉
<「ひとり学習」の実践から生まれたキーワード>
○ 本当の自分(人間)になる
○ 自分の心と頭と体を自分で鍛える
○ 自分で考える
○ 人間は必ず過ちを犯す
○ 失敗も成功も成長の素
○ 目的と課題と結果を分離する
○ 一工夫・一人
○ なんとかすれば なんとかなる
○ パラドックス
○ 60点満点
○ ありのままの自分を大切にする
○ 「○○とは」何か
○ 何になるか。何をするか。どう生きるか。
○ このありのままの自分のほかに自分はいない
○ 小さな成長の芽を見て喜ぶ
○ 人間らしさとは何か
○ 問題はあなたの自己実現のために表れる
○ 自分が 自分で 自分から
○ 要求は厳しく、結果はやさしく
○ 自分の歩みの階段
「ひとり学習」の実践から生まれたキーワードの説明(1)
「自分が、自分で、自分から」
この言葉は、私が福岡市立南片江小学校に赴任し、5年生を担任していたとき
<昭和54年(1980年)>ふと頭に浮かんだ私の純粋な造語です。
アメリカ合衆国の代16代大統領に就任したエイブラハム・リンカーンの言葉に「人民
の、人民による、人民のための政治」(ゲティスパーク演説;Govermment of the
people, by people, for the people.)というのがあります。
この言葉は、確か中学校の英語の時間に習ったと記憶しています。
「ひとり学習」を実践していた私は、「自分」といことがいつも頭にあり、この言葉のゴロが、ふと浮かびました。リズムかるな響きと人民と自分が結びつき「自分が、自分で、自分から」という言葉が自然に言語化され、今の自分の気持ちとピタッとくることを感じました。まさに、この言葉は、自分が主体で行動することをはっきり表していると思ったのです。
以後、この言葉を私自身が造った言葉として、私の「座右の銘」にしようと決心し、子どもたちにもこの言葉をしっかり教えていこうと考えたのです。
では、この言葉にどんな意味があるのでしょうか。これは私の造語です。私の気持ちを大切にし、私の思うがままの意味づけをして、子どもたちに、その思いを語り、この言葉を大切にして、今からの生活や人生に生かしてほしいと願いながら教えていきました。
私が想う意味は、次のようになります。
「自分が」の「自分」とは、言葉の通り世界の中に一人しかいない「私自身(おのれ、自己)」のことです。だから、ここでは「自分」の後に付く助詞「が・で・から」が、どんな意味を持つかが重要になります。
「が」は、格助詞として多くの意味を持っていますが、ここでは「能動的主体として」の「が」と捉えます。「いろんな言動に対して、責任ある主体者としての私です」ということを表しています。
「で」は、「が」と同じく体言に付き、@動作の行われる所・時・場合を示す。A手段・方法・道具・材料を示す。などの意味があります。ここでは@Aの意味も含めて、とにかく「自分という主体が、他に頼ることなく、いろんなことを創意工夫し考えて行動していく」という意味を込めています。
「から」は、「が・で」と同じく格助詞で、いくつかの意味があります。ここでは
「起点となる場所・時を示す」ものとして捉え「何事も他から言われたり、頼まれたから行うのでなく、自分が出発点になり、最初に進んで主体的に取り組んでいく」ということです。
「自分が、自分で、自分から」をまとめて言えば、「何事にも自分が主体になり、自分の言動に責任を持ち、取り組みに創意と工夫を凝らし、積極的に取り組んでいこう」
ということになります。
※ 以上、「自分が、自分で、自分から」というキーワードを説明しましたが、この
言葉を今でもよく覚えて、大切にしている教え子がいることを嬉しく思います。